私は保健師になり、ビジネスマナーの必要性に気が付きました。

産業保健師にビジネスマナーは必要?
看護師としての経験があるから大丈夫かな?
こういった疑問にお答えします。
私は看護師から産業保健師へ転職しましたが、病院の世界と企業の世界は全く違います。
所属や上司などに着目して比較してみましょう。
看護師 |
保健師 |
|
勤務先 |
病院、クリニックなど |
企業 |
トップ |
病院長・看護部長 |
社長、CEO |
所属 |
看護部 |
総務部、人事部など |
周りからの認識 |
一看護師 |
一企業人 |
いくつかの項目で比較してみましたが、看護師と保健師では全て異なっているのがわかります。
私は保健師になって、看護師時代と異なる点と上記について異なることに気づき、それによって導き出した答えがこちらです。
【結論】
社会人として、ビジネスマナーの基本は必須
看護師として使っていたマナースキルでは不十分だった→学び直しが必要である
本記事の内容
メールや電話のときの言葉の使い方に困惑
まず、日々の仕事において、従業員との面談を行うためのスケジュール調整はマスト。
その際、主に、メールを使用して日程調整をしていきます。時には電話で話して決めることも。
保健師としての仕事を始めて間もなく、引継ぎをしてくれる保健師より、メールでの日程調整を依頼されました。
「…書き出しってどうすれば良いの?」
いきなりの出だしでつまづくというハプニング!
でも、それもそのはずです。看
護師時代、私は滅多に仕事でメールを使用しませんでした。
メールと言ったら友人と。
いや、でも、友人とはLINEが多かったな。。。
メールって、なんだか慣れていないかも。
文章を書くと言っても、レポートとか、カルテの記録とかくらいだったな。。。
誰かに対してきちんとした文章を書くということをしてこなかったのです。
そして、時折かかってくる電話。看護師時代はすぐに受話していました。
「はい、〇〇病棟の△△です」というように。
そして、その後はフツーに会話。
でも、今、ココは会社です。
「正しい言葉遣いって、どんな感じなんだっけ?」
ひとまずフツーに受話するものの、敬語が変な感じになっている自分に気づく。
でも、何だかよくわからない。
自分の言葉遣いに自信を無くしました。
メールも電話も少し苦手意識がついてしまいました。
仕事の対象は従業員全員=新入社員から社長・役員まで!?
企業の保健師として存在しているので、対象は同じ企業に所属するすべての人です。
つまり、上司も含まれます。
会社には様々な役職があり、直属の上司は課長ですが、その上には部長、その上にも〇〇部長や、常務などの役員もいます。
もちろん、トップには社長も。
それらすべての人に対して保健活動を行うのです。
そして、それらの人々と関わりを持つ場面があった際、
「役員相手に何ができるの!?なんだかこわい!!!」「とにかく言葉遣いとかの接遇面、大丈夫かな…」
こんな風に思いました。
接遇に一番自信が無かったんです。
産業保健師は産業医の秘書的役割もある
産業保健師としての数ある仕事の中でも重要な者として、産業医のサポートがあります。
病院で看護師が石の診療の補助を行うように、会社でも産業医の補助を保健師が行います。
産業医というのはやはり医師であるが故に、医師業に専念すべく、その他の業務(雑務)は保健師が行うことが多いです。
産業医が常勤では無く嘱託で週に数回しか来社しない、といった理由で、産業医業務を効率良く行うことができるよう、準備を保健師やその他の事務方が行う、ということも多いと思います。
そのため、準備としては役員と産業医の取次も行いますし、役員の秘書の方とも接する機会があります。
役員の秘書は、本物の秘書さんですので、身なりから立ち振る舞いまでの全てがきちんとしています。
産業医の代理としての仕事を行う私も、やはり秘書のようにきちんとしないと、産業医のメンツに関わるのではないかと思うこともあり(そんなことは無いかもしれませんが)、接遇はしっかりできないといけないなと感じました。
看護師時代のビジネスマナーでは不十分だった
看護師時代も社会人としての基本的な接遇は意識していたつもりです。
入社後にビジネスマナー研修もありました。
しかし、看護師の対象は基本的に患者さんです。
そして、患者への接遇の悪さに関して、注意されることが多くありました(看護師全体として)。
どうしても立場上自分たちの方が上側に位置していることは明らかで、それがそのまま接遇面に表れているようでした。
もちろん、医師から患者への態度も同じです。
患者には高齢者が多いのもあり、「おばあちゃん」と読んだりすることもしばしば。
最初はもちろん敬語を使いますが、慣れてくるとため口や丁寧語程度になることがほとんどでした。
信頼関係を築く上でのコミュニケーションと言えばそうなのですが、やはり、世間から考えれば普通では無いかもしれませんね。
医療職の接遇ができていないのは、全国共通だと思います。
おそらく、官僚や企業経営者が多く入院する病院でない限り、しっかりと接遇ができているところは少ないように思います。
私もそんな“接遇がちゃんとできていない人”のひとりでしたので、保健師になってからとても苦労しました。
丁寧語はわかるけど、尊敬語や謙譲語が使い分けられない、そんな感じです。
ビジネスマナーが身に付いていないと、余計な時間がかかる
マナーは相手への尊敬の現れです。
それができないということは、相手に失礼になります。
特に企業は上下関係や対内外関係がしっかり分けられている場所ですので、接遇面は基本中の基本。
私たち保健師は、新卒からビジネスマナーを身に付けている従業員を相手にコンタクトを取り、面談をしていかなければなりません。
相手にとって当たり前になっている接遇を私ができなかった場合、相手は「失礼」だと感じます。
そのため、メールひとつにしても、言葉遣いには細心の注意を払います。
そしてそのビジネスマナースキルが身に付いていないと、
「こういう場合はどう言うんだっけ?」
「この書類はどのように作れば良いんだっけ?」
と疑問が出る度にいちいちネットで調べ無ければならず、とても時間がかかります。
そのため最低限のベースは身に付けておかないと、後々苦労してしまいます。
私も最初はとても苦労しました。
メールひとつ送るのに、何十分かけたかわかりません。
相手に失礼では無いか、何度も何度も読み直しました。
でも今は言葉のベースを身に付けることができ、仕事も順調に、従業員の皆さんと自信を持ってコンタクトを取れるようになりましたので、接遇の重要性・必要性に気が付けて良かったと思っています。
秘書検定を利用し、基本的なビジネスマナースキルを取得
『ビジネスマナーを身に付ける』と考えた場合、私はなぜか咄嗟に『秘書検定』を思い浮かべました。
『秘書』って接遇ばっちりのイメージではありませんか?
なので、秘書検定を利用してビジネスマナーを身につけようと考えました。
書店に行けばたくさんの本が並んでいますし、試験も年に2〜3回実施されています。
合格率も悪く無いので、しっかり勉強すればできるはず!
そう思い、独学で秘書検定3級と2級を連続で受験し、合格できました 。
秘書検定後、社内メールや電話対応に自信が持てるようになった
正直なところ、秘書検定の内容全てを普段の業務で用いるわけではありません。
産業医の仕事のサポートをする立場として、産業医の秘書的な立ち位置にもなりますが、本当の秘書ではないので。
ですが、普段のメールのやり取りがものすごく楽になりました。
敬語の使い方をよく考えるようになり、今まで自分が送っていたメールを読み返すと、敬語がイマイチすぎて恥ずかしくなりました。
電話も同様です。
役員や社外とのやり取りの際にも、考えながら丁寧に対応を心掛けました。
電話時のメモの取り方も、秘書検定で学んだんですよ。
産業医への取り次ぎや伝言の際にも、役立ちます。
これまでの自分のメールの書き方や言葉遣いのおかしい点に気付くことができるようになりましたので、まだ完璧とは程遠いのですが、得るものはとても大きかったと感じています。
一社会人としてのビジネスマナーを身に付け、社外でも堂々と!
産業保健師は一人職場ですが、社外の研修へ行くと多くの企業の保健師と出会うことができます。
その際にいろいろなお話をして情報交換をすることが多いのですが、相手の方とは最初に『名刺交換』をします。
名刺交換により、相手の方のお名前やどこの企業の方なのか、全てを確認することができます。
一人職場で相談相手がいない分、そういった研修で知り合えた方へ今後何かを相談する機会があるかもしれませんが、その際には名刺に記載のある連絡先へメールや電話をすることもあります。
名刺交換は、保健師にとって、とても重要なことです。
この名刺交換は、看護師にはありません。
名刺自体を持っていないので、扱う場面がありませんでした。
看護師時代に扱うことがなかったものは、やはり新たなスキルとして身に付けなければなりませんね。
まとめ
産業保健師は一企業の従業員です。社会人として、ビジネスマナーを備えておくのは基本的なこと。
看護師も入社当初にマナー研修があると思いますが、お辞儀の角度やあいさつの仕方といった日常に必要なことのみで、文章スキルは教わりません。
立ち振る舞い等も説明がなされますが、実践の場が無ければ、身につかないですよね。
私は基本的なビジネスマナーを備えることのないまま、社会人として過ごしてきてしまいました。
マナーが身についていないと、そのマナーが当たり前にできている人にとって、とても「失礼な人」として見られてしまうかもしれません。
例として、
もしあなたが人を待たせてしまったときに「お待たせしてすみません」と謝るとします。これが基本。
でも、逆にあなたが待たされた側になったとき、遅れてきた人から何も言われなかった場合、少し嫌な気持ちになりませんか?
「自分だったら、待たせたことを詫びるのに」と思うかもしれませんよね。
それと同じことです。
ビジネスマナーは社会人の『基本』です。
できていなくても仕事はできるかもしれませんが、人と仕事をする上で、相手に不快感を抱かせず、逆に好感を抱いてもらいながら仕事ができれば、物事は円滑に進みそうですよね。
できることなら、その『基本』はしっかりと押さえておきたいところです。
新卒から保健師になった方、もしくは看護師等別の職種から転職して初めて企業に入った方、ぜひ、最初にビジネスマナーについて学び、身に付けましょう。
きっとそのマナーは相手に好印象を与え、その後の自分の仕事を良い方向へ助けてくれることでしょう。