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産業保健師のお勉強(1)【公衆衛生と健康の概念】

2019-06-11

保健師を目指しているけど、どんな勉強が必要なのかな

保健師になれたけど、必要な知識が備わっているか不安

学生の頃に勉強したけど、忘れちゃったなぁ

このような悩みを抱いていませんか?

本記事では、産業保健師を含め、保健師を始めた方にとって基礎的な知識となる「公衆衛生の基本」についてお伝えします。

保健師になったばかりの方、保健師の国家試験を受験した時の知識を取り戻したい方は、こちらを読み進めて学び直しの機会にしていただきたいと思います。

 

「健康」と「公衆衛生」の概念

臨床医学が個人の疾病を対象にするのに対して、公衆衛生は健康な人間を含めた集団を対象としており、社会全体の健康の維持・増進を目標とする、実践の学問です。

これを理解するために、「健康」と「公衆衛生」の概念について押さえておきましょう。

1946年、WHOの「健康の定義」

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

(健康とは単に疾病がないとか、虚弱でないだけでなく、身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態である。)

引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000026609.pdf

1949年、ウィンスローの「公衆衛生の定義」

公衆衛生とは、組織化された地域社会の努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進を図る科学・技術である。

<環境衛生対策、感染症対策、衛生教育、医療看護サービス、社会保障制度の改善>

現代社会では、疾病との共存を含めた健康感が意識され、疾病や障害を持ちながらでもQOLを高められるようにすることが重視されています。

そのために、近年では新たな法律や政策が多く生まれ進められています。

 

日本国憲法

こちらは、日本における国民の権利についてです。

日本国憲法 25条(生存権、国の社会的使命)

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

健康に影響を及ぼす要因

社会全体の健康について考えなければならない公衆衛生学ですが、身体的・精神的・社会的な要因が全て良好な状態を目指すのはとても難しいことです。

しかし公衆衛生に携わる場合にはそれらすべての側面について理解し取り組む必要がありますので、具体的にはどのような要因があるのかを押さえておきましょう。

健康に影響を及ぼす要因は以下のような4つの枠組みで考えることができます。

宿主要因(内面的要因)

年齢

性別

人種

性格

遺伝子

体質

 

行動要因(行動から生じる要因)

食事

運動

睡眠

喫煙

飲酒

ストレス

 

環境要因

細菌・ウイルス

化学物質

放射線

生活水準

職業

宗教

 

保健体制

保健医療福祉サービス

国家政策

 

集団の健康を考える際にも、その集団を作り上げている個人の特徴にも目を向ける必要があります。

その集団や個人の置かれている環境と個人が持つ要因には関連性がある場合もあります。

また、要因はそれぞれ影響し合っていることも多いです。

様々な角度から集団の健康状況を捉えていきましょう。

 

おまけ

私は歴史や人物が苦手なのですが、一応こういったものも見ておきましょう。

 

公衆衛生・公衆衛生看護に関わる人々

チャドウィック(イギリス):世界初の「公衆衛生法」成立に関与。衛生局の設置。

ナイチンゲール(イギリス):看護の祖、統計学者

ラスボーン:訪問看護

リチャーズ:看護婦養成、家庭での看護活動

ウォルド:公衆衛生看護

ドーゾン:地域包括医療の重要性

ウィンスロー:公衆衛生定義

オルト:GHQ。産婆、看護婦、保健婦の一元化。

オルソン:GHQ2代目

フリーマン:公衆衛生活動の評価指標

ブラウン:ブラウン報告。看護教育や看護サービスの在り方