「健康経営」という言葉を聞いたことがありますか?
最近はかなりこの言葉と共に活動が広がってきているように感じます。
本記事ではこの健康経営についてお伝えしたいと思います。
健康経営とその背景・目的
※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
国の政策
健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することを指しています。
この健康経営は、経済産業省が勧めているものです。
国民の健康や安全に関しては厚生労働省管轄となっているので、「なぜ経済産業省なのか」に疑問を抱いた方もいらっしゃるかもしれません。
これは健康経営の考え方や目的が大きく関係しています。
経済の活性化
健康経営は、「従業員等の健康保持・増進の取り組みが、将来的に企業の収益性等を高める投資である」という考えのもとに成り立っています。
具体的に言うと、「労働者の健康を支援することによって労働者の生産性や組織の活性化に繋がり、企業価値や業績の向上をもたらす」と考えられているのです。
企業の活性化は経済効果をもたらしますので、経済産業省が推進する理由に納得できるかと思います。
生産年齢人口の支援
出典:経済産業省HP
日本の生産年齢人口(15〜65歳未満の人口)は大きく減少しており、高齢社会が加速しています。
日本の将来のためには、生産年齢人口の活躍が必要であり、そのためにはその世代への支援が欠かせません。
労働者が働きやすい環境を整備し、生産年齢人口の減少を防がなければなりません。
女性の社会進出が進められていることも同じ背景ではありますが、この年代に該当する人々が結婚・出産しても働き続けられるような環境にすることも、国全体として必要な政策となります。
また、企業としても働き手が減ることは痛手ですので、長期的な企業繁栄を目指すためにも、労働者の健康支援に向けたサポートや環境整備が必要となってきます。
医療費の削減
高齢者の増加に伴い、医療費が年々増加しています。
高齢者を支える生産年齢人口への支援とともに、この医療費を抑制することも国を支えるためには必要な施策となります。
加齢に伴う機能低下は仕方が無いですが、病気にかかるリスクを抑えることは可能です。
将来のことも考え、働く世代の人々の健康を保持・増進することで、将来的に医療費を抑制できるようにと考えていることも、この健康経営を推進する理由の一つです。
将来への投資
出典:経済産業省HP
「労働者の健康を支援してくれる良い企業」というイメージは、入職希望社の増加といった良質な人材の確保にも繋がります。
企業の成長のためには欠かせないポイントになるでしょう。
企業が取り組みを行うためには、もちろん資金が必要になります。
法令で定められている最低限のことは行うことが当たり前とされており、それに対しても元々費用が発生しています。
それに加えてさらにお金をかけ、企業独自の新たな取り組みを行うことが求められています。
しかし、企業が労働者の健康増進への取り組みを行っても、すぐには結果が出ません。
また、一時的な取り組みを行っても健康増進には繋がりにくいです。
そのため、企業は労働者の健康支援のための投資を前もって行うことが求められ、また長期的な視点で支援を行う必要があります。
この「長期的な視点で」ということがとても重要且つ重視されている部分です。
企業は従業員の健康増進や生産性や価値の向上に向けて、将来への投資を行うことになります。
上図にもあるように、とある企業の研究結果では、投資額の3倍のリターンがあったという報告もあります。
先々に目を向けた活動が、結果的に企業成長に繋がると考えられます。
従属意識の向上
健康経営に関する取り組みは、多方面で多くのメリットをもたらします。
もちろん、その企業で働く従業員にとっても、労働者の健康を保持・増進してくれるのはとてもありがたいことです。
企業と従業員の関係の向上にも繋がるでしょう。
まとめ
出典:経済産業省HP
「健康経営」という言葉もだいぶ有名になりました。
国が進める施策ではありますが、企業にとっても、従業員にとっても多くのメリットがあるものです。
労働者の健康を守るため法律も整備されていますので、基本的な施策を行い、資金力やマンパワーなど余裕がある企業から健康経営に向けた活動を始めている印象があります。
ですが、中小企業でもこの「労働者の健康の保持・増進」の重要性や企業にもたらすメリットを理解し、進んで取り組まれているところもあります。
取り組む背景や将来像を明確にし、健康経営に関わる取り組みをできるところから進めてみるのはいかがでしょうか。
産業保健スタッフとしても、可能な限り支援していきたいところです。
さて、この健康経営に纏わる取り組みですが、「健康経営銘柄」や「ホワイト500」といった選定も関わります。
これらについては、また別でお伝えしたいと思います。
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