学会 研修・資格

産業保健師の成長に役立つ6つの学会<社会・産業医学系>

2019-07-04

産業保健師として知識を高めるには、どうすれば良いのだろう?

セミナー以外に何か良い情報源はあるのかなぁ?

 

このようなお悩みの方へ、学会についての情報提供をしたいと思います。

医療業界に携わる人であれば必ず耳にしたことがあるはずの「学会」。

産業保健に関わる学会も数多く存在していますので、そういった学会情報をまとめてみました。

 

学会参加の必要性

産業保健師になったものの、産業保健師としてどのように成長すべきか悩むことが多いと思います。私もその一人です。

 

看護師が病院で仕事をする際には、必ずOJTがあります。

小規模のクリニックでさえ、OJTはあると思います。

ですが産業保健師の場合、企業によって教育の差は大きく、しっかりとした教育を受けられない場合が多いです。

 

というのも、産業保健という分野が看護の分野と比べてまだそこまで発展していないということや、企業は病院と異なり医療専門職自体の所属が少ないため、教育制度が整っていないのです。

現場での仕事のやり方は最低限引継ぎがあると思いますが、大手の企業でない限りは、自分で学びながら仕事を進めることが多いのではないかと思います。

そういった際、外部の研修などを活用して自己啓発に励むという方法がありますが、その他の方法のひとつとして、学会の利用も挙げることができます。

 

恥ずかしながら、私は看護師時代、どこの学会にも所属したことがありませんでした。

なぜなら、教育は病院で先輩から十分受けることができていたからです。

教育制度が整っていたため、指導や課題、看護研究を通して着実にステップアップすることができており、外部での研修をあまり望みませんでした。

 

しかし今は外部研修を受けなければ、誰からも学ぶことができません。

もちろん、本や雑誌からも様々な情報を得ることができます。

 

しかし、医療の現場は常に進歩しており、産業保健の世界も同様に、今とても発展している最中なのではないかと感じます。

本は古い情報を含むため、やはり最新の情報を取り入れるには、外部に出た方が有益かつ最速なのではないかと思う次第です。

そのため、私は常に外部研修についてアンテナを張り、可能であれば参加してスキルアップに励んでいるところです。

もちろん費用がかかるものが多いので、そこは計画的に参加する必要がありますが。。。

 

そこで今回は、スキルアップのための手段の一つとして、学会についてまとめてみました。

「学会」と聞くと堅苦しい感じがして少しビビる人もいるかもしれませんが(笑)、大きな研修会だと思ってもらえれば良いと思います。

立派な先生方の発表会のような感じです。

 

学会では最新の情報が入手できますので、産業保健師として働く上で有益になりそうな情報を得られる学会を探してみました。

学会に入会しなくても、HPを見るだけで勉強になることが多いですよ。

学会HPから学会誌を閲覧したり、論文を検索することもできます。

お時間がある方は、ぜひご覧になってみてください。

 

日本産業衛生学会 Japan Society for Occupational Health

日本産業衛生学会HP→ https://www.sanei.or.jp/

概要など

日本産業衛生学会は、産業保健に関する日本最大の学術団体です。産業保健に関わる多くの職種が所属しています。

 

理事長 川上 憲人(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 精神保健学分野)

正会員 2019年3月1日時点 7950名 → 8195名(2020年3月1日現在)

年会費 10,000円

機関誌 「産業衛生学雑誌」年間6回発行、「Journal of Occupational Health」年6回発行

 

産業衛生学会へは、産業医や産業保健師が多く所属しており、特に産業医は単位取得のために学会へ参加することが多いように感じます。

学会の内容としても、産業保健業界で最大規模の学会ということもあり、毎年充実しており多くの企業も参加しているようです。

産業医が多く所属する学会ですので、中には少し難しい内容の発表もありますが、講演は多数ありますので自分の好きなところへ聴講すれば大丈夫です。

学会へ参加すると、トレンドや最新情報を得ることができるので、常に学ぶ必要のある医療職としては、参加して損は無いと思います。

産業保健に関わる様々なトピックスについて触れることができるため、産業保健師を始めてからの最初の入口としては良いと思います。

 

GPS(Good Practice Samples) 

学会だけでなく、HP上に掲載されているGPS(Good Practice Samples)も役に立ちます。

これは学会参加者が自身の活動や体験を事例として提供している部門で、会員であればいつでもGPSを覗き、他社の活動事例を見ることができます。

GPSには取り組みの背景から実際に行ったこと、どのような効果が得られたか、今後の展望といった内容が具体的に記されていますので、自社の活動の際に参考になります。

 

部会・研究会多数あり 

また、産業衛生学会から派生している部会や研究会も多数ありますので、同時にそちらの会へ参加するのも良いでしょう。

ちなみに、地方会へは自動的に所属となり、会開催前に通知が届きます。

 

日本人間ドック学会 Japan Society Ningen Doc

HPはコチラ→ https://www.ningen-dock.jp/

概要など

予防医学を推進し、日本国民の健康増進の充実を目的に活動している学会です。

 

理事長 篠原 幸人(国家公務員共済組合連合会 立川病院)

年会費 医師10,000円、医師以外6,000円

機関誌 「人間ドック」年5回発行、英文「Ningen Dock International」年1~2回発行

専門医 人間ドック健診専門医

 

e-learning

HPでは、「遺伝医学知識の向上」「予防医学分野での普及」「遺伝専門家との密接な連携」を目的として、無料のe-learning教材が配布されています。

<教材内容>

1)人間ドック・健診において、実際に必要な知識

2)遺伝一般・遺伝カウンセリングの基本、臨床遺伝学に用いる基本用語

3)遺伝医療の倫理と法律

4)家族歴のとり方・家系図の基本

5)成人発症の家族性疾患(優性遺伝)・ACMG 推奨疾患1:腫瘍性疾患

6)成人発症の家族性疾患(優性遺伝)・ACMG 推奨疾患2:循環器系疾患等

7)遺伝医療専門家(医師・カウンセラー)との連携

8)薬理遺伝学と予防医学

9)多因子疾患の遺伝学的検査の現状・DTC遺伝学的検査の問題

 

e人間ドック

https://www.e-ningendock.jp/

人間ドック健診施設の機能評価などが紹介されており、認定施設を探すことができます。

産業保健で関わる働く人々やその家族の健康を守るためには、健康診断が欠かせません。

企業が健診機関と提携して会社で健診を受診できるところもありますが、そうではない会社が多く、また、会社で実施されていても出張等で受診できない場合もあります。

そういった場合には、地域にある健診機関で受診をすることになりますが、どこで受診をしようか悩んだ際にはこういったサイトから受診機関を探してみるのも良いでしょう。

 

日本公衆衛生学会 Japanese Society of Public Health

HPはコチラ→ https://www.jsph.jp/

概要など

社会医学分野での最大規模の学会。

公衆衛生人材育成の強化と会員の拡大、関連学会との連携・協働の強化、政策提言、国際化への対応、法人化後の学会運営の安定化、公衆衛生研究の充実を柱を軸に運営されています。

 

理事長 磯 博康(大阪大学 医学系研究科 医学専攻 )

正会員 2018年3月時点 8767名

年会費 8,000円

機関誌 「日本公衆衛生」発行

専門家 公衆衛生専門家

メルマガ あり

 

日本産業精神保健学会 Japan Society for Occupational Mental Health

HPはコチラ→ http://www.jsomh.org/

概要など

職場におけるメンタルヘルスに関係した多職種のスタッフやメンタルヘルスの専門家が協働し、働く人々のメンタルヘルスの保持・増進を図る。

 

理事長 黒木 宣夫(東邦大学名誉教授. 勝田台メディカルクリニック)

年会費 7,000円

 

日本産業ストレス学会

HPはコチラ→ http://jajsr.umin.ac.jp/

概要など

産業ストレスに関する研究の推進、現場における対策の普及、情報提供および関係者の交流の場。働く人の健康と幸福および社会の発展に貢献するのが目的です。

1.産業ストレスに関する研究の推進と国際連携を継続する

2.ストレスチェック制度、働き方改革などに関して現場に向けての情報提供を一層強化する

3.産業ストレス診療の研究・実践の推進を戦略的に行う

4.職場におけるポジティブメンタルへルスの研究と実践の支援を拡大する

5.産業ストレス研究・対策の未来像について発信する

 

理事長 川上 憲人 (東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 教授)

年会費 7,000円

学会誌 「産業ストレス研究」年4回発行 HP上で閲覧可→http://jajsr.umin.ac.jp/bnumber.html

 

メンタルヘルス対策好事例集

https://jajsr.accelight.jp/working/

インターネット上で、現場の対策事例を閲覧できるようになっています。

数はそこまで多くありませんが、各企業の健康づくりに関する取組事例が詳細に紹介されており、自社での活動の際に参考になると思います。

 

ストレスチェック制度情報

http://jajsr.umin.ac.jp/stress_check.html

 

働き方改革に関する情報

http://jajsr.umin.ac.jp/work_style_reform.html

 

 

日本職業・災害医学会 Japanese Society of Occupational Medicine and Traumatology

HPはコチラ→ http://www.jsomt.jp/index.html

概要など

職業医学および災害医学の研究および教育ならびに、これに関連する諸制度における医学的基準の研究により、医学・医療の発展に寄与することを目的としています。

 

理事長 山田 義夫(大阪労災病院名誉院長)

年会費 医師・歯科医師以外の医療従事者 10,000円

労災を含め、疾患と仕事が関連するような議題を多く扱っているため、産業保健に役立つ情報があると思います。

海外勤務健康管理指導者認定制度

海外勤務者支援に関わる、海外勤務者の健康管理、感染症対策、予防接種、メンタルヘルスの知識を備え、サポートができるような人材を育むために設けられています。

医師の他、看護職も申請できます。

 

 

おまけ:日本予防医学協会

HPはコチラ→ https://www.jpm1960.org/

概要など

日本最大級の労働衛生機関。

健康づくりかわら版

https://www.jpm1960.org/kawara/

日本予防医学協会が毎月発行しているメールマガジンです。

時期に合った情報を発信しているので、自社の健康づくりにも役立つ内容がたくさんあると思います。

過去のメルマガも参照できますので、遡って様々な情報を入手することができますよ。

セミナー・勉強会

健康経営や健診、ヘルスケアなど、産業保健の場で活用できるようなセミナーが各種開催されています。

採用情報

https://www.jpm1960.org/recruiting/

看護師や保健師の採用情報が掲載されています。

健診機関だけでなく企業の募集もあるので、企業就職をご希望の方はたまに覗いてみると良いかもしれません。